



ジャンルを超え、時代を超えて、数多の表現者たちを刺激し続けるアニエスベー。
その象徴であり心髄(エッセンシャルズ)ともいうべきアイテム
「カーディガンプレッション」は、
自由な着こなしと豊かな表現を可能とするエバーグリーンなマスターピースです。
ここに登場するのはパリと東京をベースに活躍し、
アニエスベーの“心髄”に共感をおぼえる5組の輝く表現者たち。
個性際立つ「カーディガンプレッション」スタイルで、
各々の“エッセンシャルズ”を語ってくれました。
ファッションは単なる衣服ではなく、
その人の個性や目指すものを表現するもの
世界一のレストランを選ぶ美食の祭典「The World's 50 Best Restaurants」の常連であり、“ビストロノミー※”を体現するパリの名店「ル・シャトーブリアン」で料理人としてのキャリアをスタートした、アレクシス・ビジャウイ。同じパリの三つ星レストラン「アルページュ」で巨匠アラン・パッサールに師事し研鑽を積んだ彼は、2021年、満を持してイタリア国境にほど近いメルカントゥール山脈のヴァルドゥブロールに「オーベルジュ・ド・ラ・ロシュ」をオープン。大きな話題を呼び、一躍トップシェフの仲間入りを果たします。
料理人としての人生を通じて農業や自然、大地、海との深い結びつきと敬意を礎とし、その恵みである素材本来の魅力を最大限に引き出す独自のアプローチを展開。料理という五感をフルに刺激する“作品”を創造し続けるビジャウイさんに、ファッションのこだわりや料理との関連性、そして最も大切な“エッセンシャルズ”について教えていただきました。
※伝統的でカジュアルなビストロと、高度な食の文化体系としてのガストロノミーが融合したモダンフレンチレストラン

パリのなかでも多くの移民が暮らし、トレンドに敏感なエリアとして注目を集めている19区。ビジャウイさんと待ち合わせた「SOCES」は、彼が懇意にしているフレンチシェフ、マリウス・デポンフィリーさんが共同オーナーを務める人気のブラッセリーです。昨年秋にはそんな実力派シェフ同士がタッグを組んだ期間限定のプログラムを実施するなど、大きな注目を集めました。
西に傾いた陽が差し込む「SOCES」の店内で、ビジャウイさんは自らの“エッセンシャルズ”について語り始めました。
「私にとって欠かせないものとして最初に挙げたいのは、音楽です。私は料理人になる前にミュージシャンとして活動していて、音楽はいまも、常に私とともにあります。朝早くから夜遅くまで、音楽があることで集中し、自分をコントロールし、インスピレーションを得ることができる。音楽は私の一部であり、なくてはならないもの。静寂も好きですが、それでも音楽がなければ自分が『ここにいる』と感じることができないのです」
「ちょっと散歩でもしませんか?」
そんな言葉に従って、春の訪れを感じるパリの街へと繰り出しました。
「次に挙げるとするなら、料理に使っているナイフでしょう。ナイフは私の身体や動作、願望、そして表現の延長線上にあるもの。最も大切な“表現手段”だといえるかもしれません。そして最も重要で決して忘れてはならないもの、それが自然です。私はこれまで頻繁に農業に携わってきましたが、自然に対する深い敬意が、料理という道へと私を導いてくれました。自然は私にとってセラピストのような存在であり、私を成長させ、料理人という仕事に対する情熱をより確かなものにしてくれる存在でもあるのです」
人々の話し声や通り過ぎるクルマのエンジン音をBGMに、颯爽と歩くビジャウイさん。ブラックのベストにネイビーの長袖という「カーディガンプレッション」同士をレイヤードした、カジュアルながらも洗練されたスタイルは、いかにもパリジャンといった趣です。シェフというクリエイティブなプロフェッショナルのオフならではの、絶妙なヌケ感も見逃せません。
「私はシンプルな色使いで、洗練されたスタイルを好みます。派手なものは必要なく、シルエットにはすごくこだわるし、ブランドの哲学やメッセージも大切にしたい。明確なスタイルとクリーンなデザイン、それが私にとっての理想だと思っています。『本質は細部に宿る』といいますよね。シンプルさこそが最も難しく、だからこそ、私はこのカーディガンに惹かれるのだと思います」


この日初めて「カーディガンプレッション」を着用したというビジャウイさんですが、アニエスベーというブランドとの出合いは数十年前まで遡ることになります。
「私は女優イザベル・ユペールの息子、ロレンツォとともに育ちました。私たちは親友で、6区にある彼の家でよく過ごしていたんです。彼の家の近くにあるアニエスベーのブティックの前を、何度も通ったことを覚えています。イザベルが開くディナーや、お出かけ前の準備の様子もよく覚えてますよ。彼女はよくアニエスベーの服を着ていて、それは私にとって、まさにフランスのエレガンスとクラシックなスタイルを象徴するものでした。そして当然私自身にも、アニエスベーのTシャツを購入する日がやってきたわけです」
初めてアニエスベーのアイテムに袖を通した日のことを、いまでも鮮明に記憶しているというビジャウイさん。この日の「カーディガンプレッション」にも、それと似た感動をおぼえたことを明かしてくれました。
「まず感じたのは、素材の質や仕立てのよさ。現代は多くのブランドが品質を落としているにもかかわらず、アニエスベーの服は、その上質さをすぐに実感できるのです。また、シルエットもとても気に入りました。身体にフィットしすぎず、ほどよく寄り添ってくれる感じがちょうどいい。本当に洗練された1着だと思います。普段からカーディガンはよく着ていますが、これほど美しいシルエットのものは、なかなかないですからね」

フレンチシェフという、一見するとファッションとは異なる世界の住人でありながら、自らの“スタイル”を表現する手段としてのファッションにこだわり、その本質を理解するビジャウイさん。だがそんな彼だからこそ、誕生から40年を経ても色褪せない「カーディガンプレッション」とアニエスベーの“本質”に、より一層の魅力を感じているのではないでしょうか。その“本質”とは、決して変わらないスタイルやアティテュード(姿勢や態度)と、変わり続けるフィーリング(気分)の絶妙なマリアージュだともいえるかもしれません。
「人は少なからず、自分だけの“スタイル”というものを通してそれぞれの人生を送っています。ファッションは単なるアウトフィットではなく、その人の個性や目指しているものを表現するもの。私は料理人ですが、ファッションにおいて季節ごとに移り変わる感覚に、とても共感しているんです。毎日の気分や欲求が変わるように、ファッションはいまこの瞬間や生きているという感覚を表現している。そうした感覚は、私の仕事にも強い影響を与えているんです。だからこそ、私はアニエスベーのようなファッションに、これほど魅力を感じるのだと思います」
アレクシス・ビジャウイ フレンチシェフ
パリの名店「ル・シャトーブリアン」でキャリアをスタート。その後、ニューヨークの「ブルーヒル・ファーム」、コペンハーゲンの「レレー」を経て、パリの「ラルページュ」にてアラン・パッサールのもとで研鑽を積む。この経験を基に、パリの「ガランス」のシェフを務めた後、メルカントゥール山脈で「オーベルジュ・ド・ラ・ロシュ」を共同創設。瞬く間に成功を収め、「フーディング」や「ラ・リスト」などの名誉ある賞を獲得。
- instagram : @alexis.a.bijaoui