自然体でさまざまなものに触れ、瞬間的に反応していく
ファッション誌をはじめ、広告、MVなどでも活躍する琉花さん。15歳でフィルムカメラを手にし、世界を旅しながら写真を撮り続け、2017年、19歳の時に個展を開いてからは写真家としても表現の幅を広げてきました。
「父がフォトグラファーで、小さい頃からよく一緒に旅に出ていました。暗室での作業を手伝ったりもしていて、写真は身近でしたね」
そう語る琉花さんが本格的に写真を撮り始めたのは、高校1年生の時。
「友達と二人でウィーンとパリに行くことになって。初めて自力で行く大きな旅だったし、父がずっと使っていたフィルムカメラで撮ってみたいと思って。カメラを2台借りて、フィルムを30本持って行きました。まだ知識がなくて、とにかくいろんなものをパシャパシャ撮っていましたね」
それまでもスマホで写真を撮ることはあったけれど、この時フィルムカメラに目覚めたという琉花さん。以来、技術も手間も必要なフィルムカメラで撮ることにこだわり続けています。
「フィルムの質感が好きですね。あとは、何が撮れているかわからないワクワク感も。現像していい写真が撮れてた時は一番うれしいです。意図していなかったものになっていたりするのもおもしろい。プリントも、だんだん『こうしたらこういう色になる』というコツが掴めてきました」
そうして生まれる琉花さんの写真には、細部に美が宿り、撮影した瞬間の感動が伝わってくるような瑞々しさがあります。
「撮る前に場所や構図を細かく決めたりはしないですね。いつもバックパックを背負ってカメラを持っていて、光とか影とか、きれいだなと思った瞬間に、感覚的に反応しているかんじです」
これまでに訪れた国は、30カ国以上。目的地は映画や音楽、雑誌で知って決めることが多いのだそう。この冬に開催した写真展「luka “VOYAGE -Iceland- 2019″」で発表したのは、極寒のアイスランドで撮影した作品。
「アイスランドは、ビョークの曲を小さい頃から聴いていたのもありましたけど、『LIFE!』という映画を見て。マイナス二十何度ですんごい寒かったですけど、景色が素晴らしすぎました。直感で『行きたい!』『撮りたい!』と思ったらすぐ行動しちゃいます」
海外に行きづらくなったこのごろは、日本の地方に注目しているのだとか。
「これまで国内はあまり旅したことがなかったんですが、北海道や島根に行って、日本の自然に興味を持つようになりました。霧がかった森のなかで神聖なものを感じたり。こういう時期に、浄化されるようでしたね」
とにかく自然体で、モデルと写真家、どちらの仕事をしている時も「あまり意識しすぎないようにしている」という琉花さん。その気負いのなさが相手をリラックスさせるのだと感じられます。
「写真をやるようになって、撮る側、撮られる側、両方の気持ちがわかるようになったのはよかったと思います。撮る側の視点から、被写体としてどう表現すればいいか考えるようになって、モデルの仕事もさらに楽しくなりました。両方楽しみながら、深めていきたいですね」
琉花 luka
1998年生まれ、東京都出身。モデルとして国内外の雑誌、広告、MVなど多方面で活躍中。4月1日より全国劇場公開される『アクターズ・ショート・フィルム2』/「物語」(監督、脚本:玉城ティナ氏)に主演としてスクリーンデビュー。また、フォトグラファーとして2017年8月に個展『VOYAGE 2014-2017 luka』を代官山・ALギャラリーにて、2021年11月に2度目となる個展『VOYAGE-Iceland 2019-』を下北沢・Great Booksにて開催。その他、アパレルブランドのルックブック撮影や、作品のコラボレーション企画なども積極的に行っている。黒のカーディガンプレッションを、幼少期からサイズを変えながら愛用。