タラ号、新しいミッション「マイクロバイオーム」をスタート
2020年12月10日~
あなたは私の情熱、誇り、喜び、共有の象徴、そして愛
―アニエスベー
アニエスベーが2003年よりサポートし続けているTara Océan(タラ オセアン)財団は、科学探査スクーナー船「タラ号」で世界中の海を航海し、世界中の科学者や研究所と協力しながら、気候変動や環境破壊が海洋にもたらす影響を研究しています。
これまでに温暖化、プランクトン、サンゴ礁、マイクロプラスチックなどをテーマとして11の探査プロジェクトを行ったタラ号が今回、母港であるフランスのロリアン港を出港。新たな大科学探査、ミッション「マイクロバイオーム」を開始しました。
気候変動問題に関する国際的な枠組みを取り決めたパリ協定の採択から5 年後の2020 年12 月12 日に出発したタラ号は約2 年間、南大西洋を7 万キロ、南アメリカとアフリカの海岸沿い、南極まで移動します。Tara Océan財団とCNRS(フランス国立科学研究センター)、CEA(フランス原子力・代替エネルギー庁)、EMBL(欧州分子生物学研究所)を含むその科学的パートナーによって考案されたこのミッションには、世界中の42 の研究組織が参加しています。
今回は、進行中の地球規模の環境変化の黎明期に、海洋生態系の最も基礎である、海洋マイクロバイオーム(微生物叢)と、その未来を研究します。
海洋マイクロバイオームとは
巨大な食物連鎖の最初の鎖でもある海洋微生物は、海洋バイオマスの3 分の2 以上を占め、海洋において重要な役割を果たしています。これらの海洋微生物は、大気中の二酸化炭素を取り込み、酸素を生産しますが、この目に見えない働きはまだあまり知られていません。
「海洋マイクロバイオームとは、定義上、すべての海洋微生物(ウイルス、細菌、微細藻類、原生生物など)だけではなく、海洋微生物と環境の相互作用も指しています」と、Tara Océan 財団 エグゼクティブ・ディレクターのロマン・トゥルブレ氏は言います。
今回のタラ号のミッション「マイクロバイオーム」について
「マイクロバイオームがどのように機能しているのか、またプラスチック汚染や海の温暖化に敏感なのかを解明したいのです」と、トゥルブレ氏は言います。タラ号では、温度、酸素濃度、栄養素の有無、プラスチック汚染など、多くの環境パラメータを測定しながら、大規模なDNA 配列 解析と画像化のための海洋マイクロバイオームを収集します。
科学探査に加えて、Tara Océan 財団は、子どもから若者、大人までの一般の方々を船上に招待し、海と保全の問題をより理解してもらい、意識を高めてもらう活動を続けていきます。23の寄港地のうちのいくつかでは、科学チームが現地の研究者を対象に、海洋研究のノウハウや技術の研修を行います。
財団のデジタル・プラットフォーム上では、どなたでも人間と科学の冒険を追いかけられ、海洋マイクロバイオームの有用性を理解できる情報を提供します。
また、タラ号をきっかけに、世界各地で持続可能な開発の課題に取り組んでもらえるよう、タラ号クルーとライブで交流するライブ配信等を行います。
Tara Océan 財団日本事務局であるTARA JAPANもまた、連携しながら日本の次世代を担う子どもたちや一般の人々に向けて様々な行事を行う予定です。
TARA OCÉAN (タラ オセアン) 財団の日本での活動
Tara Océan財団は、2020年10月より日本の大学に所属する臨海実験施設の連携組織である、JAMBIO(マリンバイオ共同推進機構)と連携し、日本沿岸海域におけるマイクロプラスチック汚染の共同調査、研究を開始しました。2020年秋のサンプリング調査第一弾は、西日本を中心に行われ、11月20日に最終地点・筑波大学下田臨海実験センターのある静岡県下田で締めくくられました。このプロジェクトでは、各臨海実験所の探査船を使用して調査。2021年の初夏、東日本、北日本のサンプリング調査が始まります。
アニエスベーもこの調査をパートナーとしてサポート。マイクロプラスチックの採取に参加する日本全国の各臨海実験所の研究者や、プロジェクトに携わるスタッフが着用する特別なTシャツ(非売品)には、JAMBIOの各拠点を示したマップをプリントしました。