Interview : New Office Opening
2022年03月01日～
Photo by DAISUKE SHIMA
2022年3月1日(火)にオープンしたアニエスベーの新オフィスについて、アニエスベー ジャパン代表のローラン パトゥイエ(写真左)と、建築、インテリアスタジオ「Puddle」代表の加藤匡毅さん(写真右)が対談しました。
新オフィスのコンセプトと、そのソリューションとは… …
ローラン パトゥイエ （*以下LP)：
新しいオフィスをデザインするに当たり加藤さんに最初にお声掛けした際、まず一番の前提として掲げたコンセプトは、「われわれアニエスベーと言うブランドのDNAを発信できる場所を作りたい」という思いでした。それには、アートとか環境とか、いろいろな要素が含まれています。「環境に配慮した素材にこだわる」という点も重要で、「Puddle」さんに対してとても期待していたところでもありました。
二つ目は、社員のウェルビーイングと言った、働く環境の整備について。新しい仕事のやり方にあう職場、「ニューノーマル」な働き方にあう職場づくりを目指したいと思いました。コロナの状況もあるけれど、コロナではなくても、明らかに働き方は変わってきていますからね。
三つ目は、われわれはモノ作りを土台としているので、「アトリエ」を中心に、一番コアなものを真ん中に持ってくるという事も大事だと考えました。
そして最後は、社内と社外に向けてのコミュニケーションハブを作ること。このオフィスはやはり社員のものだけではないと考えていて、社内ではないけれど大切な仲間であるサプライヤーやパートナーも巻き込んで発信できる場所にしたいと言う思いも強く持っています。そういった意味でもアニエスベーらしい場所、アニエスベーを体験できる場所にしたいと思いました。
加藤匡毅さん （*以下MK)：
僕らは普段、オフィスやカフェなど「人が集まる場所・人が集まってコミュニケーションする場所」を設計させてもらう事が多いのですが、今回のご依頼を受けて、ローランさんからアニエスベーと言うブランドや、アニエス本人や、アニエスベーのブランドフィロソフィーを聞いた時に、単純に綺麗なオフィスを作ってもそれは「その場所を作った」と言う事にすぎない。そこに留まるのではなくコミュニケーションが生まれる場所を作ろうと思いました。東京のこの場所なんだけど、遠く離れたフランスのアニエスベーの DNA が感じられる、自分がその DNA の一部になれるような場所を作りたいなという風に思いました。なので一番最初にオリエンテーションを受けて、そこから僕たちが考え始めたときに、「アニエスベーが一番大事にしたいこと、ローランさんが大事にしたいことってなんだろうな」ってずっと考えていたら、自ずと、物語づくりの最初の原点である「アトリエを中心に置く」っていう事が見えてきて、本当にもうそこしかないな、という思いでスタートしました。
そして実際にアトリエを中心に置くこととなった時に、ローランさんもおっしゃっていたように、全部が透明でオープンでみんなが見える場所を作ることを目指しました。さらには、今はアトリエを中心にしてその横にフリーなスペースをつくっていますが、今後の働き方も含めてなにが起きてもよいような、自由度の高いオフィスにしたいと。それを作るにあたって、過去というか「最初の原点としてのアトリエ」とこれから先にいろんなことが起こりそうなオープンスペースを横に作るっていうことに関してローランさんと意見が一致し、すごく共感できてスタートを切れたので、ブレることなくデザインできたのではないかと思っています。
あとは働く人が、ただ作業をするだけの場所ではなくて、自分で考え自分がアニエスベーの一部であり、生活の一部が仕事の一部であり、暮らしの一部に働くがあるみたいな、そういった感覚を持ってもらえるようにしたい、という思いも大切にしました。
(LP)：会話だけではなくて、フランスのアニエスベー本社オフィスの写真も見ていただきましたよね！
(MK) : 写真も含め、調べられるだけ歴史はいっぱい調べましたね！本当はフランスにも行けば一番良かったけれど、行ける状況ではなかったから。イマジネーションを広げて、行った気になるしかなかったんです… …。ブランド創業当初のアトリエの写真などもヒントにしてつくって行きました。
「アニエスベー」と言うブランドのDNAについて… …
(MK) : アトリエが中心であり、オープンな場所と言う点はとても重要でした。それと「フェイク」な素材は使いたくないというお話も僕たち「Puddle」として普段考えている事とも同じだったから、とても共感できました。
(LP)：制限がある中ではありましたけれどね(笑)。
(MK)：そうですね。そのこだわりを70点とか80点でやってはダメだと思っていて、そこはもう100か0しかないと思っていました。
(LP) ：絶対にブレないところや、どんな問題があっても解決法を見つけるところは、本当にすごいなと思っていました。
(MK) : みんなでひとつずつ見つけられたから、それは感謝していますね。
(LP) 当初のプラン通りに、ほぼ出来ているというのはすごい事だよね。
(MK) : そうそう。模型をさっきみていたのですが、cafeカウンターの形がちょっと変わったくらいで、あとはほぼプラン通り。ここ最初はカーブだったんですけどね、ローランさんが「アニエスはカーブはいらないから」ということでしたよね(笑) そこくらいかな。
模型だったものが、現実となって… …
(MK) : 出来上がっている空間は、イメージどおりです！実際にそこにアートが入ると空間が活きてくるし、これから人の活動でよりいっそう空間が活きて来る。まだまだ器だけだけど、ここから皆さんが働いて場所が活きて来るから、その状況を僕は体験したいです。
今この瞬間は、空間が生まれたとき。赤ちゃんが生まれ出てきて、その最初の瞬間みたいな感じですよね。これからはこのオフィスの成長を、僕もひとりの親として見ていきたい。さっきローランさんも言っていたように、スタッフの皆さんだけでなく、サプライヤー、パートナーのひとりとして、赤ちゃんを産んだひとりの親として、今後もたびたび訪れてその成長を見て行きたいなと思っています。
(LP) ：そうですね、皆さんにこの場所を体験して欲しいですね。100人～150人の人が集える空間なので、今後はアートやライブ、インスタライブ、トークショー、トークセッションとか、いろいろ開催して行けたら良いなと思っています。
